追加した業務帳票5機能を、合成25件と、公開帳票様式を匿名化加工または参考にして作成した派生データ25件の計50件で各1回検証しました。50件すべてが処理を完了し、正規化後の項目一致率は全体90.24%でした。
一方、品質管理帳票の公開様式派生データは58.42%でした。50件すべての処理完了は、全項目が正しいことを意味しません。本記事では良い結果だけでなく、書式差に対する残課題も含めて測定条件と数値を公開します。
お手元の帳票で、実際の読み取り結果をご確認いただけます。
結論
| データ群 | 処理完了 | 項目カバー率 | 完全一致率 | 正規化後一致率 |
|---|---|---|---|---|
| 合成データ | 25 / 25件 | 100.00% | 99.32% | 99.09% |
| 公開様式派生データ | 25 / 25件 | 85.59% | 77.06% | 78.82% |
| 合計 | 50 / 50件 | 93.71% | 89.60% | 90.24% |
合計1,557項目の正解値に対し、値が返った項目は1,459項目、完全一致は1,395項目、表記差をそろえた正規化後一致は1,405項目でした。
重要:「処理完了」は、文書分類とAI処理が終わり結果を返したことを示します。値が未取得、または誤認識の項目があっても処理完了に含まれます。OCR結果は必ず原本と照合してください。
検証方法と指標
5機能ごとに、合成データ5件と公開帳票様式の派生データ5件を用意し、合計50件を各1回実行しました。公開様式派生データは、24の公開元URLで確認した帳票を匿名化加工したデータと、欄構成を参考に架空値で新規作成したデータです。顧客書類や実在する個人情報は使用していません。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象機能 | 不動産書類、発注書、品質管理、物流、車両管理 |
| 件数 | 各機能10件、合計50件 |
| データ構成 | 合成25件、公開帳票様式を参考にした派生25件 |
| 形式 | PDF 19件、画像31件 |
| 最大ファイル | 合成データで19,571,582バイト(約18.66MiB) |
| 実行回数 | 各データ1回 |
| 測定日 | 2026年8月27日 |
指標の定義
- 処理完了:文書分類とAI処理が完了し、結果を返した件数。全項目の正しさは示しません。
- 項目カバー率:正解値を用意した項目のうち、値が返った項目の割合。
- 完全一致率:正解値と読み取り値が文字列として一致した割合。
- 正規化後一致率:AIが返した正規化値について、全角・半角、空白、大小文字、一部の記号などの表記差をそろえて比較した割合。正規化値自体が誤る場合があるため、完全一致率より低くなることがあります。
- 処理時間:検証クライアントからAPI、AI処理、結果取得までの時間。利用者の端末や回線によって変動します。
機能別の結果
| 機能 | 処理完了 | 合成 | 公開様式派生 | 全10件 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産書類 | 10 / 10件 | 100.00% | 96.00% | 98.50% |
| 発注書 | 10 / 10件 | 100.00% | 91.10% | 96.68% |
| 品質管理 | 10 / 10件 | 99.43% | 58.42% | 78.08% |
| 物流 | 10 / 10件 | 99.48% | 84.80% | 93.69% |
| 車両管理 | 10 / 10件 | 95.71% | 79.17% | 87.32% |
表中の3つの割合は正規化後一致率です。不動産書類と発注書は今回の条件で比較的安定しました。物流は公開様式派生データで84.80%、車両管理は79.17%でした。
品質管理は書式差への対応が課題
品質管理の合成データは99.43%でしたが、公開様式派生データは58.42%でした。検査項目が横方向へ並ぶ表、日次・月次点検、合否や不適合内容の表現など、帳票ごとの構造と用語の違いにより精度が低下する傾向が見られました。現時点では「品質管理帳票なら同じ精度で読める」とは案内できません。
車両管理は分類を改善、項目精度は継続改善
点検整備記録、日常点検表、検査証などの意味上の違いを分類条件へ反映し、今回の10件はすべて処理を完了しました。ただし公開様式派生データの項目一致率は79.17%であり、車種・用途・点検名称の表記差への対応を継続します。
処理速度とPDF
| データ群 | 中央値 | P90 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 合成データ25件 | 8.271秒 | 12.152秒 | 14.070秒 |
| 公開様式派生25件 | 7.228秒 | 9.593秒 | 15.989秒 |
PDFは19件を含み、今回の再検証ではPDF画像化のタイムアウトは発生しませんでした。大きなPDFは、文字を読み取れる範囲を保ちながら処理前に画像寸法とメモリ使用量を調整しています。
速度は単発測定で、同時利用数、回線、AI応答、ファイルのページ数や複雑さによって変動します。本記事の秒数は処理時間の保証値ではありません。
今回の改善内容
前回の検証で確認した失敗を、次の3点に分けて修正しました。
- 文書分類:検査証、点検表、整備記録など、同じ業務目的で使われる名称と、対象外にすべき書類の境界を明確化しました。
- PDF処理:高解像度PDFをそのまま大きな画像として保持せず、読み取り前に上限内へ調整し、不要なメモリ複製を避けました。
- 発注書・物流の検証データ:正解値として用意した項目が画像にも確実に表示されるよう、表の列と合計値の生成を見直しました。
前回は50件中4件で、文書分類3件とPDF処理1件の失敗を確認しました。今回の再検証では同じ種類の失敗は0件でした。ただし、公開様式派生データは再生成しており、AIの応答にも変動があるため、数値差をすべて改修だけの効果とはみなしません。
制約と今後の改善
- 各機能10件、各データ1回の検証であり、すべての帳票様式を代表するものではありません。
- 公開様式派生データは公開された欄構成を参考にしていますが、実際の顧客書類そのものではありません。
- 品質管理では複雑な表、結合セル、項目の省略、独自の合否表現への対応が不足しています。
- 車両管理では点検名称、車種、用途による表記差への対応が必要です。
- AIの出力には変動があり、同じ画像でも結果が完全に同一とは限りません。
- 「未読取」を含む結果は原本で確認し、業務システムへ登録する前に人が検証してください。
次の改善では、品質管理の表構造と欄名の多様性を優先し、公開様式派生データを追加して回帰検証します。車両管理は分類成功を維持しながら、項目の表記差を吸収する処理を強化します。
データの取り扱い
今回の検証では、顧客書類や実在する個人情報を使用していません。画像とPDFには、公開帳票様式を匿名化加工した派生データと、欄構成を参考に架空値で新規作成した派生データを使用しました。検証の集計・診断にはケース識別子、項目キー、エラー種別、件数、時間を使用し、個別の読み取り値、画像、公開元URL、ローカルのファイルパスは公開記事へ掲載していません。
実際にRakuOCRをご利用になる際のデータの取り扱いは、RakuOCRのプライバシー説明をご確認ください。
よくある質問
50件すべて処理完了なら、すべて正確ですか?
いいえ。処理完了は結果を返したことを示します。今回の全体の正規化後一致率は90.24%で、機能と帳票様式によって差があります。原本との照合が必要です。
90%以上の精度が保証されますか?
保証されません。90.24%は今回の50件・単発実行での測定値です。画像品質、書式、項目数、利用時点によって変動します。
公開帳票様式をそのまま使いましたか?
そのままでは使用していません。公開帳票を匿名化加工した派生データと、欄構成を参考に架空値で新規作成した派生データを使いました。顧客書類や実在する個人情報は含みません。
PDFも読み取れますか?
今回の検証では19件のPDFが処理を完了しました。ページ数、画像解像度、ファイルの複雑さによって結果と時間は変わるため、実際のファイルでご確認ください。
自社様式へ対応できますか?
標準機能で読み取り結果を確認したうえで、項目追加、独自帳票、既存システムへの連携や組み込みをカスタマイズでご相談いただけます。
お手元の帳票でRakuOCRをお試しください
まず標準機能で読み取り結果を確認し、独自様式やシステム連携が必要な場合はご相談ください。
検証・執筆:RakuCloud株式会社
測定日:2026年8月27日。数値は今回の条件における測定結果であり、将来の性能を保証するものではありません。
